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​STORY

ー 開発ストーリー ー

移動する建築を設計する上で

目指したこと

移動する建築は、人類の歴史に繰り返し現れる。時代ごとの先端技術でパッケージングを進化させながら。だが、そのパッケージングが機能的になればなるほど、通常の建築と比較され、移動の自由より極小空間の不自由さの印象が強まるように思う。そんな矛盾を逃れて、土地から解放される喜びを表現する建築を作りたい、と考えた。

移動建築の本質は、建築の置かれる場所と時間を自由に選べることにある。渡り鳥のように快適な気候帯を求めて移動することもできるし、天災時に安全な地に逃げることもできる。向きを少し変えるだけで、光や風や音の入り方も選べる。通常の建築であれば受動的に向き合う環境を、移動建築は能動的に追いかけ獲得することができる。であるならば、機能十分の小さな建築は必要ない。むしろ、辿り着いた先の環境を注ぎ込む、がらんどうの器であればよい。車に引かれて旅をする箱の中には空気があるだけだが、その空気は千変万化する。山に行けば山の、海に行けば海の空気で満たされる。森の中、嵐の夜、都市の片隅、波打ち際、100の環境が100通りの居場所をつくる。

何も持たない幾何学の容れ物が、道を引かれどこまでも行く風景を想像している。旅先の環境を、その器いっぱいに満たすために。

建築家

藤野高志/生物建築舎

​モバイルハウスGNU(第2世代)の

開発ストーリー

人文地理学者のJay Appletonは、著書『The Experience of Landscape』の中で「人間は無意識に『眺望』と『隠れ場』の景観を美しいと感じ、存在価値を見出す。」と述べている。この建築も、安心できる場所から世界の広がりを感じられること、を大切にしたいと考えた。ここでは、どこまでも広がる外の環境と、動物の巣のような小空間を、曲面の天井がつなぐ。天井の緩やかなカーブが、外の光をグラデーショナルに取込み、奥に少しだけ闇を作る。曲面は屋根の上になだらかな丘をつくり、寝転がりながら空を見上げることができる。

​モバイルハウスMooseの

開発ストーリー

身を預ける空間が小さいと、相対的に外は広く動的になる。大河に浮かぶ小舟のようだ。そのとき大切なのは「守られている」こと。心理的、物理的な安心感があることで、人は殻を作らず、外の世界へと意識を向かわせることができる。この建築は、吹き流しのような開放的な形をしているが、筒を少しだけ傾け、ひな壇の床を作ることで、体を隠したり預けたりする拠り所となる。

​外観は、移動から導かれた。たとえばレーシングカーのフォルムは猛スピードに最適化されるので、停まっていてもスピード感がある。魚や鳥の姿も同じで、移動体には本来、動的な形が内在する。この建築も、前面は後ろに傾斜させ空気の抵抗を減らし、後面は自転車競技のヘルメットのように絞り込んだ。停止時は傾けて置かれ、次の発進にむけて力を蓄え、いつでも動き出すぞ、という形をしている。